栽培施設紹介

令和4年2月時点での栽培施設の状態を紹介したいと思います。

前回少し触れましたが、令和元年(2019年)の雪が解けたころ、自宅庭として植木やら何やらあったところを整地、4月に約90㎡のハウスを建設(写真①)、引き続き濱田さん(㈱アクポニ)の協力を得てアクアポニックス施設を整備しました。

この設備の基点は貯水タンク(写真②)です。ここに一定量の水を溜めておき、そこからポンプがフィルター(写真③)を経由して魚タンクと野菜ベットに水を送ります(フィルターから出た水を仮に「フィルター水」と呼ぶとします)。現在ここにはPH調整のためのサンゴ砂、不足気味になる微量元素を補給するための水耕用有機肥料、ボウフラ対策の金魚数匹と錦鯉1匹がいます。

魚タンク(写真④は設置直後の綺麗な頃)は直径2m高さ80cmの水量2000ℓサイズで、約120匹のティラピア(写真⑤)を飼育しています。ティラピアは約2年の飼育で大きいもので30cmくらいに育っています。魚タンクには常時フィルター水が送られ、オーバーフローした水(魚タンクの水を仮に「飼育水」と呼ぶとします)は貯水タンクに戻ります。

一方、魚タンクの前で分岐したフィルター水の一部は野菜ベットに送られます。野菜ベットにはいくつかの形式がありますが、ここでは簡単に言うと等間隔に穴をあけた塩ビ管に水を通すNFTという形式を採用しています(写真⑥)。約8mの塩ビ管計20本、1000株弱の生産量で、主に草丈の低い葉物野菜を栽培しています。この上流から流したフィルター水は野菜により硝酸塩が吸収されます(仮に「浄化水」と呼ぶとします)。下流で収束した浄化水は貯水タンクに戻り、そこで飼育水と浄化水が混ざった水が再びポンプからフィルターに送られます。以前のアクアポニックスの説明では飼育による水の富栄養化、硝化、野菜による浄化を分かりやすく示しましたが、実際のシステムではあちこちで色んな状態の水が交じり合い、全体として硝酸塩の過剰な上昇を抑えていると考えた方が良いでしょう。

以上の設備が㈱アクポニ様の協力で設置したメイン栽培施設です。ここで約2年間の栽培実験を行いましたが、その中で大きく2点の問題が発生しました。1点目はNFTでは栽培する品種が限られるということです。塩ビ管の穴に合う大きさのカップにスポンジ培地で栽培するので背の高い野菜や果菜類はトップヘビーになって安定しないし、根が繁殖するものは塩ビ管が詰まる、栽培地に深さがないので根菜類も向かないので、結局は草丈のあまり大きくならない葉物野菜に限られてしまうわけです。

2点目はポンプやフィルターにトラブルがあった場合、水の循環が止まってしまい、特に魚タンクの水質悪化を招くということです。昨年初夏、フィルターからの水漏れが発生し、それを止めるためにポンプを止めざるを得ませんでした。野菜の方はフィルター水が来なくてもすぐには影響は出ませんが、魚タンクへの循環を長期間止めるのは危険と思い、解決するまでポンプをつけたり止めたりしながらだましだまし魚タンクへ水を送ることでなんとか魚を死なせずに済みました。この一件から水流のメインフィルターを補完するサブフィルターになる部分が必要になると痛感しました。

それで昨年末から自作を始めたのが写真⑦⑧のハイドロボール(メディア)を培地にした野菜ベット(「メディアベット」と呼んでいます)です。ハイドロボールを培地にすることにより、NFTでの栽培に不向きな品種も栽培できます。ちなみに写真⑦の右側、二つ並んだ上のトロ舟(小)の右奥がヒソップ、トロ舟(小)二つで葉が茂っているのが二十日大根、左側のトロ舟(大)に移植したばかりのスペアミントになります。
また、ハイドロボールはフィルターの役目も果たすので、メディアベット部分には魚タンクから直接に飼育水を送水し、各トロ舟に自作したオートサイフォンにより一定の水位となったら排水され、魚タンクに戻るルートを作成しています。写真⑧のようにまだ余分スペースがあるので、今後もう少し拡張する予定です。なお、ハイドロボールはある程度まとまった重量を購入することもできますがそれなりの金額になるので、今は最寄りの100円ショップでコツコツ買い集めています(笑)

他にもハウス内の設備を充実するために毎日のようにホームセンターに通い詰め、色々なものを自作してきました。これを機にDIYに目覚めそうです(笑)

 

 

2022年02月21日